東海林・菅井の『通史足尾鉱毒事件』・4 | 足尾鉱毒事件自由討論会

東海林・菅井の『通史足尾鉱毒事件』・4

「まえがき」から引用をしたい部分はまだあります。


次の文章をあなたはどう思いますか? 


「ちなみに、従来の関係者は、おしなべて、鉱毒被害の顕在化について、明治12,3年に魚類が大量死したことにより、13年または14年、あるいは13年から3年連続に、県令(県知事)の藤川為親が渡良瀬川の魚獲・売買・食用を禁ずる布達を出したという、田中正造による虚構を根拠にしていた」


「このため、銅山の歴史および技術の近代化と密接に関連している被害の顕在化について科学的な整合性を欠き、鉱毒が江戸時代から300年流れ続けていたとする迷妄を生み、結果的には古河の責任はその3分の2に過ぎないという、企業側の論理を支えることになったのである」


この本の著者は、田中正造が公害の発生した時期について、知事が布達を出したという作り話を創作して嘘を言ったという事実を紹介しています。


本来なら、この場合嘘をついた正造を非難しなければいけないのに、その嘘を信じた馬鹿正直な田中正造信者の方を、「企業側の論理を支えることになった」と非難しているわけです。
何とも不思議な論理ではありませんか。


そもそも、著者らがいう「田中正造による虚構」は、すぐばれるようなお粗末な嘘で、調べればすぐ分かりますが、一生涯嘘をつき続けた虚言症の彼の一面の現われに過ぎません。


したがって、「田中正造の発言は信じてはいけない」と、私などは疑ってかかりますが、著者たちは彼の嘘をこの場合だけだと決めてかかり、これ以外は本当だと信じてしまっているわけです。事実を正確に認識する判断能力が全くないことがわかります。