東海林・菅井の『通史足尾鉱毒事件』・2 | 足尾鉱毒事件自由討論会

東海林・菅井の『通史足尾鉱毒事件』・2

まず、この本の「まえがき」から少し引用し、批判を試みてみます。


「日清戦争による鉱毒被害の激化が、田中正造を指導者とする鉱毒反対闘争を生み、足尾鉱毒問題は明治期後半における最大の社会問題になったのである」


「日清戦争による鉱毒被害の激化」とありますが、なぜ公害と戦争と関係づけるのでしょう。戦争は悪で公害も悪という単純論法を持ってきたお粗末さが、すでにまえがきから読み取れます。


「田中正造を指導者とする」とありますが、私には、田中正造は闘争の指導者だったとはとうてい思えません。


指導者は、野口春蔵などの被害農民であって、被害者でもなく農民でもなく、国会議員に過ぎない正造に指導者の資格などありえないし、彼には指導者になる実力はなかったし、本人もそれを認識している発言をしているからです。