日経から訴えられる③ | 足尾鉱毒事件自由討論会

日経から訴えられる③


翌8月2日(平成13年)、日経新聞に「わい曲した引用」「晶文社など提訴」「本社」との見出しで、この記事が出ました。ここには、本社は「正当な引用、論評は問題ないが、この行為は創作意図のすり替えに当たり、著作者人格権を侵害された」と主張している、と書いてありました。
さらに、同社の秋山豊広報担当部長は「記事の都合のよい部分だけを引用し,文章をすりかえて当社をひぼう中傷している。言論の自由とは無縁で、容認できない」とコメントしていました。
しかし、何で私に日経をひぼう中傷する必要があるでしょう。
私の著書のうちの3点は日経の読書欄に採り上げられました。論説委員の小島記者は、私の本を読んで大倉喜八郎の取材に来ました。編集委員の名和記者は、私の本を見て「美の故郷」シリーズの岩佐又兵衛の取材に見えました。日経新聞の企画になる[20世紀・日本の経済人」シリーズがテレビ東京で放映されたとき、大倉和親の分は私の著書を参考にしてシナリオが書かれましたし、私もゲスト出演しました。
私が日経をひぼう中傷することは自殺行為ですから、それはあり得ないことです。
「言論の自由とは無縁で容認できない」も、驚きのコメントです。私はただ本当のことを書いただけだからです。当該記事のおおよそは、次の通りでした。


①田中正造は国会で、住友と古河とでは天地の差がある、と演説した。その田中が手放しで称賛したのが別子銅山を改革した住友総理の伊庭貞剛である。
②伊庭が打った煙害の最大の解決策は、製錬所を無人島の四阪島に移転したことである。
③ただ、その意に反して移転は煙害の完全な解決にはならず、その除去には操業から35年もかかった。


私は、①と②をとりあげてこの記事を批判したのですが、③については何も触れませんでした。日経はこのことを問題にし、なぜ③を引用しなかったのか、これは正当な引用でなく歪曲した引用で、創作意図のすり替えだ、著作者人格権の侵害だ、と言って来たのです。まるで駄々っ子のおねだりではありませんか。
どこを引用しようと引用する人の勝手。それが言論の自由というものです。

皆さんはどう思いますか。